AI

AIについて

基本的な考え方

AIへのプロンプト作成に最も重要なのは”試行錯誤すること”です。
プロンプトの基本構文(含めるべき4つの要素)
 これを「構文」と捉えると、プロンプトの作成がより簡単になります。常に全ての要素が必要なわけではありませんが、意識すると効果的です。
[役割] + [背景と目的] + [具体的な指示] + [出力形式の指定]

  1. 具体的かつ明確に伝える
    ・曖昧な指示は、曖昧な答えにつながります。できるだけ具体的に、明確な言葉で指示を出しましょう。
    • 悪い例: 面白い話を作って
    • 良い例: 主人公がタイムスリップしてしまった猫である、小学生向けの短い物語を500文字程度で作成してください。ユーモアを交えて、最後はハッピーエンドにしてください。
  2. 役割(ペルソナ)を与える
    ・AIに特定の専門家やキャラクターになりきってもらうことで、回答の視点やトーンが定まり、質が格段に向上します。
    • 悪い例: この文章を校正して
    • 良い例: あなたは経験豊富な編集者です。以下のビジネスメールの文章を、より丁寧で分かりやすい表現に修正してください。
  3. 背景(コンテキスト)を共有する
    ・あなたが置かれている状況や、その指示を出すに至った背景を伝えることで、AIは文脈を理解し、的確な回答を生成しやすくなります。
    • 悪い例: マーケティングのアイデアを教えて
    • 良い例: 私は地方の小さなパン屋を経営しています。ターゲット顧客は主に主婦層です。来月の新商品「完熟りんごのデニッシュ」を効果的に宣伝するための、低予算で実行可能なマーケティングアイデアを3つ提案してください。
  4. 対話を通じて深掘りする
    ・一度の指示で完璧な答えを求めようとせず、AIとの対話を通じて、少しずつ理想の答えに近づけていく意識が大切です。最初の回答を元に、追加の質問や修正指示を出しましょう。
    • : ありがとう。そのアイデアいいね。2つ目のアイデアについて、具体的なSNSの投稿文を3パターン作成してくれないかな?
  5. 参考例や手本を示す
    ・望ましい回答の形式や文体がある場合は、その例を先に示してあげると、AIはあなたの好みを学習し、それに近い形で出力してくれます。
    • 例: 以下の例のように、文章を要約してください。(例)原文:[長めの文章] → 要約:[短い要約文]では、この文章を要約してください:[要約してほしい文章]

出力形式を指定する
 箇条書き、表形式、マークダウンなど、希望するフォーマットを明確に伝えましょう。
  プロンプト例:日本の主要なECサイトを5つ挙げ、それぞれの特徴と主なターゲット顧客を表形式でまとめてください。
条件を細かく設定する
 文字数、含めるべきキーワード、除外する要素などを指定します。
  プロンプト例:リモートワークのメリットについて、800字程度のブログ記事を作成してください。「柔軟性」「生産性」「ワークライフバランス」というキーワードを必ず含めてください。専門用語は使わないでください。
思考プロセスを尋ねる
 複雑な問題の答えだけを求めるのではなく、なぜその答えに至ったのか、手順を追って説明させることで、間違いに気づきやすくなったり、応用が効く知識を得られたりします。
  プロンプト例:この数学の問題を解いてください。答えだけでなく、どのような手順で、どの公式を使って計算したのかをステップ・バイ・ステップで解説してください。
複数の選択肢を出させる
 一つの答えに絞らせるのではなく、複数のアイデアや案を出させることで、発想を広げることができます。
  プロンプト例:新しいカフェの店名を考えています。クリエイティブな名前のアイデアを10個提案してください。親しみやすく、覚えやすい名前が希望です

 6.制約条件を設ける
「〜しない」「〜を避ける」といった、出力を制限するネガティブな指示を与えることで、不適切な回答を防ぎ、意図した範囲内の出力を促します。例: 提案書を作成してください。ただし、専門用語は使用せず、環境問題に関する言及は避けてください。
 肯定的指示(「〜しない」より「〜する」)AIに出力を制御させたい場合、「〜は使わないでください」といった否定的な制約よりも、「〜という表現を使ってください」といった肯定的で具体的な指示の方が、意図が伝わりやすくなります。AIは「何をすべきか」を直接指示された方が、望ましい結果を生成しやすい傾向にあります。この原則はAIの種類によって異なる場合があります。例えば、画像生成AIでは「ネガティブプロンプト(描いてほしくない要素を指定する指示)」が非常に有効なテクニックとして確立されています。これは、テキスト生成AI(LLM)が主に「Transformer」という技術を基盤にしているのに対し、画像生成AIは「Diffusionモデル」という異なる技術に基づいているためです。

 7.最新情報の利用を指示する
  ウェブ検索機能の利用を明示的に指示することで、AIがその時点の最新情報を参照するように促します
   例:Google検索を使って、今日の株価の最新情報を調べ、今後の動向について3つの視点から解説してください。

応用的なプロンプト作成技術
 プロンプトの基本構文に加え、より高度な要求をする際のテクニックを追加します。
 ①チェーン・オブ・ソート(推論過程の明示)プロンプティングの活用
 思考連鎖(CoT: Chain-of-Thought)
 Chain of Thought (CoT)とは、AIに結論だけを急がせるのではなく、答えに至るまでの推論の過程をステップ・バイ・ステップで文章として考えさせるテクニックです。かつては「Let’s think step-by-step.(一歩ずつ考えましょう)」という一文をプロンプトに加えるだけで、複雑な問題の正答率が向上することで有名でした。前記で述べた「思考プロセスを尋ねる」の背後にある、最も強力な技術の一つです。しかし、近年の高性能モデルでは、このような指示を与えなくても、AIが自律的に思考プロセスを整理してから回答を生成するようになりました。そのため、このテクニックの重要度は以前に比べて低下しています。実際に、複雑な相談をすると、回答を生成する前に「まず戦略を考える」「グロースプランを考える」といった思考プロセスを画面上に表示することがあります。これは、AIが自律的にCoTを実行している証拠です。
  プロンプト例:
  「以下の問題を解く前に、まず問題を構成要素に分解し、各ステップでどのような論理的判断が必要かを思考してください。その思考の過程を箇条書きで出力した後、最後に最終的な答えを出力してください。」
 ②Few-Shot Learning(少数事例学習)の意識
  「参考例や手本を示す」の有効性を、より学術的な用語で裏付けます。AIに複数の「入力例と、それに対する望ましい出力例」のペアを示すことで、AIはたった数ペアの例から、あなたが求めているタスクの「パターン」を学習します。これは、あなたの例(要約の例示)を複数回繰り返すことで効果が最大化されます。
 Few-Shot(入出力例の提示)
  Few-Shotプロンプティングとは、AIに具体的な「入力と出力の例」をいくつか提示する、シンプルかつ極めて効果的な手法です。言葉だけでは伝えきれないニュアンスを、実例によって示すことでAIの理解を促します。これは、AIの応答が劇的に変わるのを最も実感しやすいテクニックです。このテクニックの絶大な効果は、特定のキャラクターの口調を再現させるタスクで顕著に現れます。
 Few-Shotなし: 架空の猫人間のキャラクター設定を与え、「喋ってください」と指示したところ、AIは一般的な「少し可愛い感じ」の口調で応答しました。
 Few-Shotあり: 同じプロンプトに、たった一つ「『……フン、我に話しかけるとは、なかなかの度胸だニャ』」という発話例を追加しました。すると、AIの応答は劇的に変化し、意図した通りの「ミステリなイメージ」の口調を完璧に再現したのです。
このように、Few-Shotは文章のフォーマット、専門用語の使い方、特定の口調など、言葉での定義が難しいスタイルをAIに学習させたい場合に特に有効です。
 ③システムプロンプト(AIの基本設定)
  多くのAIチャットサービスでは、システムプロンプトという機能が提供されています。これは、個別の対話の前に、AIのベースとなる役割や振る舞いをあらかじめ定義しておくための設定です。システムプロンプトを使うことで、以下のような根本的な設定をAIに与えることができます。役割・ペルソナ: 「あなたはプロの編集者です」「あなたはフレンドリーなアシスタントです」
口調やスタイル: 「常に丁寧語で話してください」「専門用語は避けてください」
制約事項: 「ウェブ検索はできません」「今日の日付はXXXX年XX月XX日です」

   

プロンプト作成者がより意識すべきであること

AIの「思考の限界」と「バイアス」の意識
 AIが提供する情報の「質」と「信頼性」について、プロンプト作成者がより意識すべきであること。
 ①ハルシネーション(Hallucination)への対策
  事実確認の指示を加える: AIは時に、事実ではない情報を自信満々に生成します(ハルシネーション)。特に専門的な内容や統計、引用を求める場合は、「提供するすべての事実は、信頼できる情報源に基づいていることを確認し、その情報源(例:論文名、出典URLなど)を可能であれば示してください」という指示を加えることで、生成物の信頼性を高められます。
 ② AIの「学習データ」に基づくバイアス(偏見)への対処
  多様な視点の要求: AIの学習データには、特定の文化、性別、人種などに偏ったバイアスが含まれている可能性があります。これに対処するため、「特定の立場に偏らないよう、多様な視点(例:消費者、企業、環境保護団体など)を含めて論述してください」と明示的に指示することが、倫理的で公正な回答を得る上で重要になります。
AIの得意・不得意を知る:適切な期待値を持とう
 ③AIの能力と限界の理解(適切な期待値を持つ)
  AIの得意なことと苦手なことを知っておくことで、「なぜかうまくいかない」というストレスを減らし、より効果的にAIを活用できます。

得意なこと(情報の変換・生成)苦手なこと
文章の要約や翻訳: 長文を簡潔にまとめたり、他言語に変換したりする作業。正確な計算: 複雑な計算を間違えることがあります。
情報抽出: テキストから特定の情報を抜き出すこと。未知の情報: プロンプトに含まれていない情報(例:自社の今期の目標)は答えられません。
アイデア出し: 新しい企画やキャッチコピーのブレインストーミング。
文章作成: メール、ブログ記事、レポートなどの下書き作成。


AI(特にLLMと呼ばれる大規模言語モデル)が計算を間違えたり、知らないことについて答えられなかったりするのは、その仕組みに由来します。与えられた文脈において「次に来る確率が最も高い単語」を連続して選択することで文章を生成しています。つまり、AIは膨大なテキストデータから学習し、「この単語の次には、この単語が来る確率が高い」という予測を繰り返して文章を生成しています。計算問題も同様に、その計算式の答えとして「確率的に最もそれらしい数字の並び」を選んでいるにすぎないのです。数学的論理で「計算」しているのではなく、学習データに基づき「計算式の結果として最もそれらしい数字の並び」を出力しているに過ぎないのです。この基本原理を理解することで、AIに何を任せるべきか、より的確な判断ができるようになります。


AIの理解を助ける代表的な記号

 AIは書かれた文章をそのまま解釈しようとするため、記号を使って指示の役割や範囲を明確に区切ってあげると、より正確に意図を汲み取ってくれます。
構造化(マークダウン等の活用)
 情報を意味のある塊ごとに整理し、見出しやリストを用いてその関係性を示すことで、AIは指示の全体像を正確に把握しやすくなります。構造化されたプロンプトは、人間が見ても「なんとなく遠目にみても意味ごとにちゃんと別れてそうだな」と感じられるように、直感的な理解を助けるのです。構造化には、以下のようなフォーマットがよく用いられます。
マークダウン: 見出し記号(#)を使って情報の階層を示したり、箇条書き(-)で要素を並列に並べたりすることで、プロンプトを論理的に整理します。
XMLタグ: AIモデルによっては、特定のフォーマットでトレーニングされている場合があります。例えばClaudeはXMLタグ(例: <example></example>)で情報を囲むと性能が向上すると言われています。
ハッシュマーク # 
 プロンプトであれば、見出しを表します。Markdown(マークダウン)記法で「#」の数によって見出しのレベル(大きさ)が変わります。また情報の階層構造をAIに理解させる上で重要です。AIは、#の数(見出しレベル)を通じて、その後の文章の重要度や関連性を推測しやすくなります。この記法は、AIがプロンプトを構造化データとして解釈し、処理の優先順位を決めるのに役立ちます。
 例: # 主な指示の下にある内容は、### 補足情報の下にある内容よりも、AIが最も注力すべきコアなタスクであると認識しやすくなります。
括弧(かっこ) 「」 【】 ()
 括弧は、情報の役割の区別と範囲の明確化。AIの「コンテキストウィンドウ(文脈の範囲)」内で、異なる種類の情報を意味的に区切る役割を果たします。これは、AIがプロンプト内のどの部分を「データ」として扱うべきか、どの部分を「メタ指示(指示の指示)」として扱うべきかを明確に分離するのに役立ちます。LLMがプロンプトをトークン化する際、関連するトークン群を意味的な固まりとして捉えるための強力なヒューリスティック(発見的手法)となります。
「 」 : AIに処理してほしい具体的な文章やキーワードを囲むのに使います。
  例: 「明日は晴れる」という文章を、もっと丁寧な表現にしてください。
【 】 : 指示のカテゴリや役割をラベリングするのに役立ちます。
  例: 【役割】あなたはプロの編集者です。【指示】以下の文章を小学生にも分かるように書き換えてください。
( ) :、メインの指示ではない付随的な情報を囲むことで、AIが主要タスクから逸脱するのを防ぐ
例: (オプション)(制約条件)
引用符 “・バッククォート """ “`
 長い文章、データ、またはコードなどを他の指示と明確に区別したい場合に使います。情報の「かたまり」をAIに認識させることができます。シングルまたはトリプルのバッククォート ( ` または ``` )は、AI、特にコードを扱うLLMにおいて、コードブロックや純粋なテキストデータを分離する最も強力で推奨される記号です。バッククォートはプログラミング言語の慣習(コードやシェルのコマンドを囲む)から、AIが「これは処理対象の生のデータであり、実行する指示ではない」と誤解なく認識するために非常に有効です。これらはデリミタ(区切り文字)と呼ばれ、AIがプロンプト内の異なるセクションを構造化された入力として扱い、指示のインジェクション(誤った指示の混入)を防ぐのに役立つ、セキュリティと堅牢性を高める手法でもあります。
  例:以下の記事を3行で要約してください。”””(ここに長い記事の文章を貼り付ける)”””
記事やデータを改行を含む長文として渡す場合、トリプルのバッククォート ``` で囲むことで、AIが途中の改行や特殊文字を誤って指示の一部と解釈するのを防ぐことができます。
箇条書き - 1. 2.
 複数の指示や条件を出す場合に、一つずつ確実に実行してもらうために使います。複雑な要求を分解して伝えるのに最適です。
複雑なタスクをステップバイステップの実行リストに分解する際に不可欠です。番号付きリスト(1. 2.)は、特にAIに実行順序を厳密に守らせたい場合に強力な効果を発揮します。人間が複雑な問題をアルゴリズム(手順)として分解するように、AIも箇条書き形式の指示を逐次的な処理タスクとして認識し、より信頼性の高いアウトプットを生成する傾向があります。これは、AIの思考の連鎖(Chain-of-Thought)を誘導する基本的な手法の一つです。
  例:「以下の手順を必ずこの順番で実行してください。」と前置きし、番号付きリストで指示を列挙します。- まず、この文章を要約する- 次に、この文章に合うタイトルを3つ考える- 最後に、SNS投稿用の紹介文を140字で作成する
アスタリスク **
 Markdown記法において太字を示すために使われます。太字(**)は、AIがプロンプト内で「強調すべき情報」として認識するための強力な手がかりとなります。重要度を伝える道しるべです。
AI(LLM)は、プロンプト内の単語や記号に埋め込み(Embedding)と呼ばれる数値ベクトルを割り当てて解釈します。太字のような視覚的・文法的な強調は、その単語の重要性を示す信号として機能し、LLMがその情報を処理する際の注意機構(Attention Mechanism)を強く引きつける効果があると考えられています   
例: **「必ずこの制約を守って回答してください」**と太字で強調することで、AIはその部分を無視したり、軽視したりする可能性を減らせます。

ローカル

  • ollama

レポート

小論文添削
考え方
 AIは客観的な分析や多角的な視点の提供が得意ですが、個性や全体の文脈を理解することはできません、そこで、以下のような役割分担をします。
AIの役割
・誤字脱字、文法的な誤りのチェック
・文章構成の客観的な評価(序論・本論・結論の流れなど)
・論理の飛躍や矛盾点の指摘
・主張の根拠が弱い部分の特定
・より良い表現や語彙の提案
・別の視点や反論の提示
あなたの役割
・AIの指摘が妥当かどうかの判断
・個性に合わせたフィードバックの調整
・良かった点、努力を具体的に褒める
・内容と関連付けた指導
・人間的な成長を促すような、温かみのあるコメントの追加

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