お金について

書類

報告書をまとめる

 集まった複数の報告書を、書式を統一し、限られたページ数に美しく収めるには、いくつかの機能を効果的に使うのが鍵となります。特に「スタイル」機能「画像の最適化」が重要です。
【重要】準備:マスターテンプレートを作成する
 全員の報告書のフォーマットの土台となる「マスターテンプレート」となるWordファイルを1つ作成します。今後の作業はこのファイル上で行います。
※元の生徒の報告書ファイルは直接編集せず、必ずコピーして作業してください。
ページ全体のレイアウトを決める
ページ数を抑えるため、最初に用紙サイズ、余白、段組みを設定します。
 余白を調整する
  [レイアウト] タブ → [余白] をクリックします。
  [狭い] を選択すると、本文で使えるスペースが広がります。もし、さらに詰めたい場合は [ユーザー設定の余白] で上下左右の数値を少しずつ小さくします。(例:すべて20mmなど)
 段組みを活用する(推奨)
  1ページあたりの情報量を増やすために、段組みは非常に有効です。
  [レイアウト] タブ → [段組み] → [2段] を選択します。
  雑誌のようなレイアウトになり、文章と写真がコンパクトに収まりやすくなります
書式の心臓部「スタイル」を設定する
 「題名と副題は同px(ポイント)」「本文を一括で」を実現する最も強力な機能です。一度設定すれば、全員の報告書にワンクリックで同じ書式を適用できます。
 ①[ホーム] タブの右側にあるスタイルギャラリーの右下の小さな矢印をクリックし、スタイルウィンドウを表示します。
 ②左下の [新しいスタイル] ボタンをクリックし、以下のスタイルをそれぞれ作成します
  題名用スタイル
   名前: 「報告書_題名」など分かりやすい名前をつけます。
   書式: フォント(例:メイリオ)、サイズ(例:14pt)、太字、中央揃えなどを設定します。
  副題用スタイル
   名前: 「報告書_副題」
   書式: フォント(例:メイリオ)、サイズ(例:14pt)、右揃えなどを設定します。
  本文用スタイル
   名前: 「報告書_本文」
   書式: フォント(例:MS明朝)、サイズ(例:10.5pt)などを設定します。
  左下の [書式] → [段落] をクリックし、[インデントと行間隔] タブで以下の設定をすると、さらにページを節約できます。
   行間: [固定値] を選び、間隔をフォントサイズより少し大きい値(例:14ptなど)に設定します。
   段落後: 0行 または 6pt などに設定し、段落間の不要なスペースを詰めます。
報告書を流し込み、スタイルを適用する
 ①各生徒の報告書ファイルを開き、文章(題名、副題、本文)をコピーします。
 ②先ほど作成したマスターテンプレートファイルに、テキストのみを保持して貼り付けます。(貼り付けオプションで [テキストのみ保持] を選択)
 ③貼り付けた文章の各部分を選択し、作成したスタイル(「報告書_題名」「報告書_本文」など)をクリックして適用します。全ての書式が一瞬で統一されます。後から「本文の文字を少し小さくしたい」と思ったら、スタイルの設定を1ヶ所変更するだけで、全員の本文が一括で変更され、非常に効率的です。
写真(図)をページ内に収める
 画像の圧縮
 ①挿入した画像を選択し、[図の形式] タブ → [図の圧縮] をクリックします。
 ②[この画像にのみ適用する] のチェックを外します。(これでファイル内全ての画像に適用されます)
 ③解像度で [印刷用 (220 ppi)] を選択します。画質を保ちつつ、ファイルサイズを軽くできます。
 文字列の折り返し(最重要)
  画像を選択し、[図の形式] タブ → [文字列の折り返し] → [四角] を選択します。
  これにより、文章が画像の周りに回り込むようになり、無駄な空白がなくなります。画像のサイズ   を調整しながら、文章が詰まっていくのを確認してください。
最終調整
 あと1行、あと数文字がページに収まらない…という時に使えるテクニックです。
  字間を詰める(カーニング)
   ①本文全体を選択し、[ホーム] タブの [フォント] 右下の矢印をクリックします。
   ②[詳細設定] タブを開き、[文字間隔] を [狭く] に設定し、間隔を 0.1pt などで指定します。見た目を損なわない範囲で、文章全体が少し詰まります。
  ハイフネーションを有効にする
   ①[レイアウト] タブ → [ハイフネーション] → [自動] を選択します。
   行末の英単語やURLなどが自動で分割され、行の右側のガタガタがなくなり、スペースを有効活用できます。
  ページ番号やヘッダー/フッターの追加
   最後に [挿入] タブから [ページ番号] や [ヘッダー/フッター] を設定し、全体の体裁を整えます。

簿記

簿記とは

経営活動(商品の仕入れや販売、お金の貸し借りなど)を、一定のルールにしたがって帳簿に記録・計算・整理する技術のことです。
簿記には、主に3つの目的があります。
財産管理 :現金や商品といった財産や、銀行からの借入金などをきちんと管理します。
財政状態の明示 :ある特定の時点で、会社にどれくらいの財産があるのか(財政状態)を明らかにします。
経営成績の明示: 一定の期間で、どれくらいの儲けが出たのか(経営成績)を明らかにします。

簿記の5つの要素
会社のすべての経営活動は、資産・負債・純資産(資本)・収益・費用という5つのグループ(要素)に分類して記録されます。
資産 (Assets):会社が持つ現金、商品、建物や、将来お金を受け取る権利(債権)など。
負債 (Liabilities):将来お金を支払わなければならない義務(債務)など。
純資産 (資本): 資産の総額から負債の総額を差し引いた差額のことです。よく資本とも呼ばれ、事業主(オーナー)の出資分や儲けの蓄積を表します。
収益 (Revenue) :経営活動によって資本が増加する原因となるものです。代表的なものは商品の売上です。
費用 (Expenses): 経営活動によって資本が減少する原因となるものです。従業員の給料や広告料などがこれにあたります。
計算式:資本等式
簿記には、絶対に変わらないひとつの基本公式があり、それが資本等式です。
資産 − 負債 = 資本 (純資産)
会社が所有しているもの(資産)はすべて、他人から借りているお金(負債)か、本当にオーナーのもの(資本)で賄われています。このバランスは常に保たれていなければならず、これこそが簿記における最も重要な考え方なのです。この式は、会社の財産の基本的な構造を示しており「貸借対照表」という報告書の基礎にもなっています。

財務諸表

簿記の最終的な目的は、記録した内容をまとめて、会社の健康診断書のような報告書を作成することです。この報告書を財務諸表といい、特に重要なのが「貸借対照表」と「損益計算書」の2つです。

貸借対照表 (Balance Sheet)
ある特定の時点(例:3月31日時点)における会社の財政状態(どれだけ財産があるか)を明らかにするための報告書です。
左側:会社が持つすべての資産が一覧で表示されます。
右側:返済義務のある負債と、会社の純粋な財産である純資産(資本)が表示されます。
この表は、必ず「左側の合計金額」と「右側の合計金額」が一致します。左右が釣り合う(バランスが取れる)ことから、英語ではバランスシートと呼ばれます。
損益計算書 (Income Statement)
ある特定の期間(例:4月1日から3月31日まで)における会社の経営成績(どれだけ儲かったか)を明らかにするための報告書です。
右側:その期間に得たすべての収益が一覧で表示されます。
左側:その期間にかかったすべての費用が一覧で表示されます。
収益の合計から費用の合計を差し引くことで、その期間の最終的な儲け(当期純利益)または損失がわかります。
期間の利益(当期純利益)を計算するには、主に2つの方法があります。

計算方法計算式考え方
財産法 (Balance Sheet Method)期末資本 − 期首資本期首と期末の資本を比べて、どれだけ資本が増えたかで利益を計算する方法。
損益法 (Income Statement Method)収益 − 費用資本が増えた原因(収益)から、資本が減った原因(費用)を差し引いて利益を計算する方法。










簿記一巡の手続き

簿記は、取引を記録し、最終的に財務諸表を作成するための一連の流れ(サイクル)に従います。
取引と勘定
取引 (Transaction) :簿記でいう「取引」とは、資産・負債・資本・収益・費用のいずれかに増減をもたらすすべての出来事を指します。例えば、火事で建物が損害を受けた場合、お金のやり取りはなくても資産(建物)が減少するため、これも簿記上の取引となります。
勘定 (Account) :取引による増減を記録するための基本的な分類項目のことです。「現金」「売上」「給料」のように、項目ごとに設けられた記録場所を指します。
借方 (Debit) と 貸方 (Credit): 勘定口座を左右に分けたときの呼び名です。借方 (かりかた)は左側、貸方 (かしかた)は右側を意味します。ここで非常に重要な注意点があります。これらの言葉を、日常で使う「借金」や「クレジットカード」といった意味と結びつけないでください。簿記において、これらは純粋に勘定の「左側」と「右側」を示す方向のラベルです。
仕訳と転記
仕訳 (Journal Entry) :取引が発生した際に、どの勘定科目(資産、負債など)が、借方・貸方のどちらで、いくら増減したのかを記録する最初のステップです。ここでの絶対的なルールは、必ず借方の合計金額と貸方の合計金額が一致することです。
転記 (Posting): 仕訳で記録した内容を、それぞれの勘定口座(これを集めた帳簿を総勘定元帳といいます)に書き写す作業のことです。仕訳の借方に書かれた内容は勘定口座の借方へ、貸方に書かれた内容は貸方へと移します。
試算表 (Trial Balance)
転記が正しく行われたかを確認するために作成される集計表です。これは貸借平均の原理に基づいており、すべての勘定の借方残高の合計と、貸方残高の合計が一致するかどうかをチェックします。なぜこの原理が成り立つのでしょうか?それは、すべての仕訳で借方と貸方の金額が必ず同額になるからです。したがって、すべての勘定から借方と貸方の残高を集計すれば、その総計も必ず一致するはずです。試算表はこの事実を証明し、最終ステップに進む前の安心材料となります。
決算 (Closing)
会計期間の終わりに行う一連の締めくくりの手続きのことです。この手続きを経て、最終的な財務諸表が作成されます。
決算整理 (Adjusting Entries) :期末に、各勘定の残高をより正確な数値に修正するための手続きです。
振替 (Transferring) :収益と費用の各勘定の残高を「損益」という一つの勘定に集め、そこで計算された利益または損失を資本金勘定に移す手続きです。
帳簿の締め切り (Closing the Books) :その期の記録を完了させ、各勘定を締め切ります。
財務諸表の作成 (Creating Financial Statements): 最終的な数値を元に、貸借対照表と損益計算書を作成します。


取引でよく使う勘定科目

資産の勘定科目 (Asset Accounts)
現金 (Cash): 紙幣や硬貨だけでなく、受け取った他人振り出しの小切手など、すぐに現金化できるものも含まれます。
当座預金 (Checking Account): 小切手を振り出すために使う銀行口座です。
売掛金 (Accounts Receivable): 商品やサービスを販売し、代金を後で受け取る権利。
受取手形 (Notes Receivable): 代金の支払いを約束する正式な証書(約束手形)を受け取った場合の権利。
商品 (Merchandise/Inventory): 販売する目的で保有している品物。
有価証券 (Securities): 株式社債などの金融商品。
固定資産 (Fixed Assets): 長期間にわたって事業で使用する資産。建物(店舗や倉庫など)、備品(パソコンや机など)、車両運搬具(トラックや乗用車)、土地などがあります。
前払金 (Advances Paid): 商品やサービスを受け取る前に、代金の一部または全部を支払った場合に使う勘定。
負債の勘定科目 (Liability Accounts)
買掛金 (Accounts Payable): 商品やサービスを仕入れ、代金を後で支払う義務。
支払手形 (Notes Payable): 代金の支払いを約束する正式な証書(約束手形)を振り出した場合の義務。
借入金 (Loans Payable): 銀行などから借り入れたお金。
未払金 (Accounts Payable – Other): 商品以外のもの(例:固定資産)を購入し、代金を後で支払う義務。
前受金 (Advances Received): 商品やサービスを提供する前に、顧客から代金の一部または全部を受け取った場合に使う勘定。
預り金 (Deposits Received): 他人のために一時的に預かっているお金。従業員の給料から天引きした所得税預り金など。
当座借越 (Bank Overdraft): 当座預金の残高を超えて小切手を振り出した場合に発生する、銀行からの短期的な借入金。
資本の勘定科目 (Capital/Equity Accounts)
資本金 (Capital): 事業主が事業のために出資した元手(元入れ)のこと。当期純利益によって増加し、当期純損失や引出金によって減少します。
引出金 (Drawings): 事業主が、事業用のお金や商品を個人的な目的で使った場合に記録するための勘定。これは、事業主の個人的な引き出しを期中に記録しておくための一時的な勘定科目と考えてください。会計期間の最後に、この勘定に記録された合計額がまとめて資本金勘定から差し引かれます。
収益の勘定科目 (Revenue Accounts)
売上 (Sales): 本業である商品販売やサービス提供によって得た収益。
受取利息 (Interest Revenue): 預金や貸付金から得られる利息。
有価証券売却益 (Gain on Sale of Securities): 有価証券を帳簿価額より高く売却したときの利益。
固定資産売却益 (Gain on Sale of Fixed Assets): 固定資産を帳簿価額より高く売却したときの利益。
費用の勘定科目 (Expense Accounts)
仕入 (Purchases): 販売目的で仕入れた商品の原価。次のセクションで学ぶように、当期商品仕入高売上原価を計算するための主要な要素です。
給料 (Salaries): 従業員に支払う賃金。
支払家賃 (Rent Expense): 事務所や店舗の家賃。
広告料 (Advertising Expense): 宣伝活動にかかった費用。
通信費 (Communication Expense): 切手代、電話代、インターネット料金など。
減価償却費 (Depreciation Expense): 固定資産の取得原価を、その耐用年数にわたって体系的に費用として配分したもの。資産の価値が徐々に減少していくことを反映します。
手形売却損 (Loss on Sale of Notes): 満期前の受取手形を銀行で現金化する際に支払う手数料(割引料)




決算整理

ある期間に得られた収益と、その収益を得るためにかかった費用とを正確に対応させ、真の収益性を把握するために不可欠な手続きです。これらの調整こそが、本当に意味のある財務諸表を作成するための鍵となります。
売上原価の算定 (Calculating Cost of Goods Sold)
売上原価とは、その期間に販売された商品の仕入原価のことです。以下の計算式で求められます。
期首商品棚卸高 (Beginning Inventory) + 当期商品仕入高 (Purchases) – 期末商品棚卸高 (Ending Inventory) = 売上原価 (Cost of Goods Sold)
繰越商品 (Merchandise Inventory): 期首に残っていた在庫(期首商品棚卸高)と、期末に残った在庫(期末商品棚卸高)の金額を記録する勘定です。
貸倒れの見積もり (Estimating Bad Debts)
貸し倒れ (Bad Debt): 売掛金などが、得意先の倒産などによって回収できなくなること。
貸倒引当金 (Allowance for Doubtful Accounts): 期末の売掛金のうち、将来回収できないと予想される金額を見積もったものです。ここで、売掛金勘定を直接減らすわけではない点に注意してください。代わりにこの貸倒引当金という特別な勘定を使います。これは貸借対照表で売掛金と対で表示され、会社が実際に回収できると見込んでいる正味の金額を示します。これにより、元の売掛金の記録を消すことなく、資産価値を実態に合わせて減額する効果があります。
貸倒引当金繰入 (Bad Debt Expense): 貸倒引当金を設定するときに計上される費用の勘定科目。
減価償却 (Depreciation)
減価償却 (Depreciation): 建物や備品などの有形固定資産の取得原価を、その資産が使用できると見積もられる期間(耐用年数)にわたって、計画的に費用として配分していく手続きのことです。この手続きにより、資産が使用や時間の経過によって徐々に価値を失っていく状況を会計に反映させます。
定額法 (Straight-Line Method): 減価償却費の計算方法の一つ。取得原価を耐用年数で均等に割り、毎年、同額の減価償却費を計上する方法です。


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