Inkscape 基本操作
Inkscapeの基本的な画面構成と、オブジェクトの選択、移動、変形、描画といった基本的な操作について説明します。
1. Inkscapeの起動と画面構成
Inkscapeを起動すると、以下のような画面が表示されます。
あくまでイメージです。バージョンによって若干異なる場合があります。
主に以下の領域で構成されています。
- キャンバス (Canvas): SVG形式のドキュメントを作成・編集する作業領域です。中央の白い長方形が描画領域です。
- ツールバー (Toolbar): 画面左側に表示され、オブジェクトの選択、パスの編集、図形の描画、テキストの入力など、様々なツールが配置されています。
- コントロールバー (Control Bar): ツールバーで選択したツールに応じて、詳細なオプションが表示されます。通常、画面上部に表示されます。
- コマンドバー (Command Bar): ファイル操作(保存、開くなど)、編集操作(コピー、ペーストなど)、表示操作など、一般的なコマンドが配置されています。通常、画面上部に表示されます。
- パレット (Palette): 画面下部に表示され、オブジェクトの塗りや線の色を簡単に選択できます。
- ステータスバー (Status Bar): 画面下部に表示され、現在の操作や選択したオブジェクトの情報などが表示されます。
- ドッキング可能なダイアログ (Dockable Dialogs): 画面右側などに表示され、オブジェクトのプロパティ(塗り、線、整列など)を詳細に設定できます。「オブジェクト (Object)」メニューや「パス (Path)」メニューなどから表示できます。
2. 基本操作
2.1 オブジェクトの選択
キャンバス内のオブジェクトを選択するには、以下の方法があります。
- 選択ツール (Select Tool): ツールバーの一番上にある矢印のアイコンをクリックし、選択したいオブジェクトを左クリックします。
- 複数選択: Shiftキーを押しながら複数のオブジェクトを左クリックすると、複数のオブジェクトを同時に選択できます。
- ボックス選択: 選択ツールがアクティブな状態で、ドラッグして矩形の選択範囲を作成します。範囲内のオブジェクトが選択されます。
2.2 キャンバスの操作
キャンバスを移動したり、表示倍率を変更したりするには、以下の方法があります。
- パン (移動): マウスの中ボタンを押しながらドラッグします。または、Ctrlキーを押しながらマウスホイールを左右に回転させるか、Shiftキーを押しながらマウスホイールを上下に回転させます。
- ズームイン (拡大): Ctrlキーを押しながらマウスホイールを上に回転させるか、+ (プラス) キーを押します。
- ズームアウト (縮小): Ctrlキーを押しながらマウスホイールを下に回転させるか、– (マイナス) キーを押します。
- 全体表示: 選択したオブジェクト全体を表示するには、Shiftキー + Ctrlキー + Eキー を押します。描画領域全体を表示するには、Ctrlキー + Eキー を押します。
2.3 オブジェクトの移動 (Move)
選択したオブジェクトを移動させるには、選択ツールがアクティブな状態で、オブジェクトをドラッグします。
- 水平・垂直方向への移動: 移動中に Ctrlキー を押すと、水平方向または垂直方向に移動が制限されます。
- 微調整: 選択したオブジェクトをキーボードの矢印キーで微小移動できます。Shiftキーを押しながら矢印キーを押すと、より大きく移動します。
2.4 オブジェクトの変形 (Transform)
選択したオブジェクトのサイズや形状を変更するには、選択ツールがアクティブな状態で、オブジェクトの周囲に表示されるハンドルをドラッグします。
- 拡大縮小: 四隅のハンドルをドラッグすると、縦横比を維持したまま拡大縮小できます。上下または左右のハンドルをドラッグすると、それぞれの方向に拡大縮小できます。
- 縦横比を固定して拡大縮小: ドラッグ中に Ctrlキー を押します。
- 中心点を固定して拡大縮小: ドラッグ中に Shiftキー を押します。
- 中心点を固定し縦横比を固定して拡大縮小: ドラッグ中に Ctrlキー + Shiftキー を押します。
- 回転: もう一度オブジェクトを左クリックすると、回転ハンドル(曲がった矢印)が四隅に表示されます。これをドラッグすると、オブジェクトを回転できます。
- 一定角度で回転: ドラッグ中に Ctrlキー を押すと、15度刻みで回転します。
- 中心点を固定して回転: ドラッグ中に Shiftキー を押します。
- 傾斜 (スキュー): 上下または左右の中央にあるハンドルをドラッグすると、オブジェクトを傾斜させることができます。
- 水平・垂直方向に傾斜: ドラッグ中に Ctrlキー を押すと、水平または垂直方向に傾斜が制限されます。
コントロールバーには、オブジェクトのX座標、Y座標、幅 (W)、高さ (H)、回転角度 (R) などを数値で入力して変形させることもできます。
2.5 基本図形の描画
ツールバーには、長方形、円/弧、星形/多角形などの基本的な図形を描画するためのツールがあります。
- 長方形ツール (Rectangle Tool): ツールバーの長方形アイコンをクリックし、キャンバス上でドラッグすると長方形が描画されます。ドラッグ中に Ctrlキー を押すと正方形が描画されます。Shiftキーを押すと中心点から描画されます。
- 円/弧ツール (Circles, Ellipses, and Arcs Tool): ツールバーの円アイコンをクリックし、ドラッグすると楕円が描画されます。ドラッグ中に Ctrlキー を押すと正円が描画されます。Shiftキーを押すと中心点から描画されます。描画後に表示されるハンドルを操作することで、円弧や扇形に変更できます。
- 星形/多角形ツール (Stars and Polygons Tool): ツールバーの星形アイコンをクリックし、ドラッグすると星形または多角形が描画されます。コントロールバーで頂点の数や角の丸みなどを調整できます。ドラッグ中に Ctrlキー を押すと回転が固定されます。Shiftキーを押すと中心点から描画されます。
2.6 パスの描画と編集
Inkscapeの重要な機能の一つが、パスの描画と編集です。
- ベジエ曲線ツール (Bezier Curves and Straight Lines Tool): ツールバーのペンアイコンをクリックし、クリックした点を結ぶ線(パス)を描画します。クリック&ドラッグで曲線を、クリックのみで直線を描画できます。
- ノードツール (Nodes Tool): ツールバーのノードアイコンをクリックし、既存のパスを選択すると、パス上の点(ノード)が表示されます。これらのノードをドラッグしたり、ハンドルを操作したりすることで、パスの形状を自由に編集できます。コントロールバーには、ノードの種類(直線、曲線など)を変更したり、パスを結合したりするオプションがあります。
2.7 テキストの入力
- テキストツール (Text Tool): ツールバーの「A」アイコンをクリックし、キャンバス上でクリックするとテキストを入力できるようになります。入力後、選択ツールで移動や変形ができます。コントロールバーでフォントの種類、サイズ、スタイルなどを変更できます。
2.8 オブジェクトの塗りと線
選択したオブジェクトの塗り(内部の色)と線(輪郭の色やスタイル)は、画面下部のパレットから色を選択することで変更できます。
- 塗りの設定: オブジェクトを選択し、パレットの色を左クリックします。
- 線の設定: オブジェクトを選択し、パレットの色をShiftキーを押しながら左クリックします。
- 詳細な設定: 「オブジェクト (Object)」メニューの「塗りと線 (Fill and Stroke)」を選択すると、ドッキング可能なダイアログが表示され、塗りの種類(単色、グラデーションなど)、線のスタイル(太さ、線種、端の形状など)を詳細に設定できます。
3. オブジェクトのグループ化
複数のオブジェクトをまとめて一つのオブジェクトとして扱いたい場合は、それらのオブジェクトを選択し、「オブジェクト (Object)」メニューの「グループ化 (Group)」を選択します。グループ化されたオブジェクトは、選択ツールでまとめて選択、移動、変形できます。グループ化を解除するには、「オブジェクト (Object)」メニューの「グループ解除 (Ungroup)」を選択します。
4. レイヤー
Inkscapeでは、複数のレイヤーを作成して、オブジェクトを階層的に管理することができます。「レイヤー (Layer)」メニューから「レイヤー (Layers)…」を選択すると、レイヤーダイアログが表示されます。新しいレイヤーの追加、レイヤーの表示/非表示、ロック/解除、順序の変更などができます。
5. 保存
作成したInkscapeのドキュメントを保存するには、以下の手順を行います。
- 画面上部のメニューバーから 「ファイル (File)」 をクリックします。
- 「保存 (Save)」 または 「名前を付けて保存 (Save As)…」 を選択します。
- 「保存」: 既に一度保存したファイルに上書き保存します。
- 「名前を付けて保存」: 新しいファイル名で保存する場合や、既存のファイルを別の名前で保存する場合に選択します。
- ファイル名を入力し、保存場所を選択して 「保存」 ボタンをクリックします。Inkscapeの標準ファイル形式は .svg です。他の形式(PNG、PDFなど)でエクスポートすることも可能です。「ファイル (File)」メニューの「エクスポート (Export)」を選択します。
Inkview 基本操作
Inkviewは、SVGファイルを手軽に表示するためのシンプルなビューアです。高度な編集機能はありませんが、SVGファイルの内容を確認するのに便利です。
Inkviewの基本的な画面構成と、SVGファイルの表示、拡大縮小、移動といった基本的な操作について説明します。
1. Inkviewの起動と画面構成
Inkviewを起動すると、SVGファイルが関連付けられている場合は、そのファイルが表示された状態で起動します。ファイルが関連付けられていない場合は、空のウィンドウが表示されます。
Inkviewの画面構成は非常にシンプルです。
- メインウィンドウ (Main Window): SVGファイルが表示される領域です。
- メニューバー (Menu Bar): 画面上部に表示され、「ファイル (File)」、「表示 (View)」、「ヘルプ (Help)」などのメニューがあります。
- ツールバー (Toolbar): メニューバーの下に表示されることがあり、拡大、縮小、回転などの基本的な操作ボタンが配置されている場合があります(バージョンによって異なることがあります)。
- ステータスバー (Status Bar): ウィンドウ下部に表示されることがあり、現在のズーム率やファイル情報などが表示されることがあります(バージョンによって異なることがあります)。
2. 基本操作
2.1 SVGファイルの表示
InkviewでSVGファイルを開くには、以下の方法があります。
- ファイルメニューから開く: メニューバーの「ファイル (File)」をクリックし、「開く (Open)…」を選択します。ファイルダイアログが表示されるので、表示したいSVGファイルを選択して「開く」ボタンをクリックします。
- ドラッグ&ドロップ: エクスプローラーやFinderなどでSVGファイルを見つけ、Inkviewのウィンドウにドラッグ&ドロップします。
- コマンドラインから開く: コマンドプロンプトやターミナルから inkview ファイル名.svg のように実行します。
2.2 拡大・縮小 (Zoom In/Out)
SVGファイルの表示倍率を変更するには、以下の方法があります。
- メニューから操作: メニューバーの「表示 (View)」をクリックし、「拡大 (Zoom In)」または「縮小 (Zoom Out)」を選択します。
- ツールバーのボタン: ツールバーに拡大・縮小ボタンがある場合は、それらをクリックします。
- キーボードショートカット:
- 拡大: Ctrlキー + + (プラス) キー
- 縮小: Ctrlキー + – (マイナス) キー
- マウスホイール: Ctrlキーを押しながらマウスホイールを上に回転させると拡大、下に回転させると縮小します。
- フィット: メニューバーの「表示 (View)」をクリックし、「ページ全体を表示 (Fit Page)」または「幅に合わせる (Fit Width)」、「高さに合わせる (Fit Height)」などを選択すると、SVGファイルがウィンドウに合わせて表示されます。
2.3 移動 (Pan)
表示範囲を移動して、SVGファイルの別の部分を見るには、以下の方法があります。
- スクロールバー: ウィンドウの右端や下端にあるスクロールバーをドラッグします。
- マウスドラッグ: マウスの中ボタンを押しながらドラッグすると、表示範囲を移動できます。
2.4 回転 (Rotate)
SVGファイルの表示を回転させるには、以下の方法があります(バージョンによっては非対応の場合があります)。
- メニューから操作: メニューバーの「表示 (View)」をクリックし、「左へ回転 (Rotate Left)」または「右へ回転 (Rotate Right)」を選択します。
- キーボードショートカット:
- 左へ回転: Ctrlキー + [ キー
- 右へ回転: Ctrlキー + ] キー
2.5 その他の表示オプション
- 背景色の変更: メニューバーの「表示 (View)」に「背景色 (Background Color)」などの項目がある場合、ウィンドウの背景色を変更できます。
- グリッド表示: メニューバーの「表示 (View)」に「グリッド (Grid)」などの項目がある場合、SVGのグリッドを表示/非表示できます(SVGファイルにグリッド情報が含まれている場合など)。
3. その他の操作
3.1 情報の表示
メニューバーの「ヘルプ (Help)」に「情報 (About Inkview)」などの項目がある場合、Inkviewのバージョン情報などを確認できます。また、「ファイル (File)」メニューに「プロパティ (Properties)」などの項目がある場合、表示しているSVGファイルの情報(作成者、サイズなど)が表示されることがあります(SVGファイルに情報が含まれている場合)。
3.2 終了
Inkviewを終了するには、以下の方法があります。
- メニューから終了: メニューバーの「ファイル (File)」をクリックし、「終了 (Quit)」または「Exit)」を選択します。
- ウィンドウの閉じるボタン: ウィンドウの右上(または左上)にある閉じるボタン(×印など)をクリックします。
- キーボードショートカット: Altキー + F4キー
ご使用のInkviewのバージョンによっては、上記で説明した機能の一部がない場合や、操作方法が若干異なる場合があります。その場合は、Inkviewのヘルプメニューなどを参照してください。