GIMP(GNU Image Manipulation Program)の基本的な操作について説明します。GIMPは、画像の編集、加工、作成など、幅広い用途に利用できる強力なフリーの画像編集ソフトウェアです。
1. GIMPの起動と画面構成
1.1 GIMPの起動
- Windows: スタートメニューから「GNU Image Manipulation Program 3」などの項目を探してクリックします。
- macOS: アプリケーションフォルダ内の「GIMP.app」をダブルクリックします。
- Linux: アプリケーションメニューまたはターミナルから gimp コマンドを実行します。
1.2 画面構成
GIMPの画面は、主に以下のウィンドウで構成されています。
- 画像ウィンドウ: 編集対象の画像が表示されるメインのウィンドウです。
- ツールボックス: 選択ツール、描画ツール、変形ツールなど、画像編集に必要なツールがまとめられています。通常、画面左側に表示されます。
- レイヤー・チャンネル・パス・ヒストグラム: レイヤー構造の管理、色のチャンネル表示、パスの編集、操作履歴の確認などを行うためのウィンドウです。通常、画面右側に表示されます。
- ブラシ・グラデーション・パターン: 描画ツールの設定、グラデーションの選択、パターンの選択などを行うためのウィンドウです。通常、画面右側のレイヤーウィンドウなどとタブで切り替えられます。
これらのウィンドウは、メニューバーの「ウィンドウ」から表示・非表示を切り替えることができます。
2. 基本的な操作
2.1 画像を開く
- メニューバーの「ファイル」をクリックします。
- 表示されたメニューから「開く/インポート…」を選択します。
- ファイル選択ダイアログが表示されるので、編集したい画像ファイルを選択して「開く」をクリックします。
2.2 画像を保存する
編集した画像を保存する方法はいくつかあります。
- 上書き保存: 現在開いているファイルに編集内容を保存します。メニューバーの「ファイル」から「上書き保存」を選択します。
- 名前を付けて保存: 新しいファイル名で保存したり、異なるファイル形式で保存したりする場合に使用します。メニューバーの「ファイル」から「名前を付けて保存…」を選択し、ファイル名や形式を指定して「保存」をクリックします。
- エクスポート: 画像をウェブサイトなどで利用できる一般的な形式(JPEG、PNGなど)で保存する場合に使用します。メニューバーの「ファイル」から「エクスポート形式…」または「エクスポート」を選択し、形式や設定を指定して「エクスポート」をクリックします。
2.3 基本的なツールを使う
選択ツール: 画像の一部を選択するために使用します。
- 矩形選択: 四角形の範囲を選択します。
- 楕円選択: 楕円形の範囲を選択します。
- 自由選択(なげなわ): 自由な形状の範囲を選択します。
- ファジー選択(魔法の杖): 色の類似した領域を自動的に選択します。
- パス選択: ベジェ曲線などを使って複雑な形状の範囲を選択します。
描画ツール: 画像に線や図形を描画するために使用します。
- 鉛筆: 固い線を描画します。
- ブラシ: ぼかしやテクスチャのある線を描画します。ブラシの種類やサイズ、色などをツールオプションで設定できます。
- 消しゴム: 画像の一部を透明にします。
- 塗りつぶし: 選択範囲または画像全体を単色またはパターンで塗りつぶします。
- グラデーション: 選択範囲または画像全体に色の滑らかな変化を適用します。
変形ツール: 画像や選択範囲を変形するために使用します。
- 移動: 選択範囲やレイヤーを移動します。
- 拡大・縮小: 選択範囲やレイヤーのサイズを変更します。
- 回転: 選択範囲やレイヤーを回転させます。
- 遠近法: 選択範囲やレイヤーに遠近感を適用します。
- ゆがみ: 選択範囲やレイヤーを自由に変形します。
各ツールの使い方は、ツールボックスでツールを選択した後、画像ウィンドウ上でドラッグ操作などを行うことで適用できます。選択したツールのオプションは、通常ツールボックスの下や別のウィンドウに表示されます。
2.4 レイヤーの操作
GIMPでは、複数の「レイヤー」を重ねて画像を構成します。レイヤーを使うことで、画像の一部分だけを編集したり、透明な部分を持たせたりすることができます。
- 新しいレイヤーの作成: レイヤーウィンドウの下部にある「新しいレイヤーを作成し、現在の画像に追加します」ボタン(白い紙のアイコン)をクリックします。
- レイヤーの選択: レイヤーウィンドウで編集したいレイヤーをクリックして選択します。
- レイヤーの表示・非表示: レイヤー名の左にある目のアイコンをクリックすると、レイヤーの表示・非表示を切り替えることができます。
- レイヤーの移動: レイヤーウィンドウでレイヤー名をドラッグ&ドロップすることで、レイヤーの重ね順を変更できます。
- レイヤーの削除: レイヤーウィンドウで削除したいレイヤーを選択し、下部にある「選択したレイヤーを削除します」ボタン(ゴミ箱のアイコン)をクリックします。
- レイヤーの結合: 複数のレイヤーを一つにまとめることができます。結合したいレイヤーを右クリックし、「下のレイヤーと結合」または「表示レイヤーを結合」などを選択します。
2.5 色の調整
メニューバーの「色」から、画像の明るさ、コントラスト、色相、彩度などを調整することができます。
- 明るさ – コントラスト: 画像全体の明るさとコントラストを調整します。
- 色相 – 彩度: 画像の色合いと鮮やかさを調整します。
- レベル: 画像の階調を調整し、明るさの分布を補正します。
- トーンカーブ: より細かく画像の明るさを調整できます。
- カラーバランス: 特定の色味を調整します。
2.6 フィルタの適用
メニューバーの「フィルタ」から、画像に様々な効果(ぼかし、シャープ、ノイズ、変形など)を適用することができます。多くのフィルタが用意されており、パラメータを調整することで効果の度合いを変更できます。
3. その他
- アンドゥ/リドゥ: メニューバーの「編集」から「元に戻す」や「やり直す」を実行できます。Ctrl+Z(macOSの場合はCommand+Z)、Ctrl+Y(macOSの場合はShift+Command+Z)のショートカットキーも利用できます。
- ズーム: 画像ウィンドウの右下にあるスライダーや、メニューバーの「表示」から「ズーム」を選択して、画像の表示倍率を変更できます。
- ヘルプ: メニューバーの「ヘルプ」からGIMPのヘルプドキュメントを参照できます。
この説明書は基本的な操作のみを扱っています。GIMPにはさらに多くの機能がありますので、必要に応じてヘルプドキュメントやオンラインの情報を参照してください。